How My Heart Sings

ななほし、やほし、こころほし。

良いオイストラフ、悪いオイストラフ

何でこんなタイトルにしようと思ったかというと、自分の中でダヴィッド・オイストラフというヴァイオリニストに対するイメージがどうにも固まらないから。ソ連邦最高のヴァイオリニストといいながら、良いときの録音と悪いときの録音で、差が大きすぎるよ。

良いオイストラフ

David Oistrakhダヴィッド・オイストラフ(1908〜1974)によるシベリウス「ヴァイオリン協奏曲」。何種類もある録音のうち、1965年モスクワでのもの。日本のアマゾンで評価が高いのは1959年アメリカでのもののようですね。マーケットプレイスで4500円くらい。たぶんいまでは、いずれかのボックスセットにも入っているのだろうとは思うけど、オイストラフに興味が無いので(無かったので)良く分らない。

バイオリン協奏曲ニ短調

バイオリン協奏曲ニ短調

 

どうして興味が無いかというと、この人の録音は最初にベートーベンのソナタを聴いて、その牛刀をもって鶏を割くといった風情に辟易して以来避けてきたからなんだけど…これは凄いな。太くて厚くて余裕たっぷりで滑らかで透明で繊細だ。もっと大味な演奏をする人だと思ってた。

プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第1番&第2番/ヴァイオリン・ソナタ第2番

プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第1番&第2番/ヴァイオリン・ソナタ第2番

 

オイストラフとマタチッチの組み合わせによるこの、プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲も凄い。曲のせいもあって繊細さはやや後退気味だけど、代りに力強さが前に出て。とはいえ、実演でこんなヴァイオリンが巨大に見える(聴こえる)わけは無いので、割引きは必要かも。オーケストラより大きいとか巨人か。

悪いオイストラフ

ベートーヴェン:ヴァイオリンソナタ第5番&第9番

ベートーヴェン:ヴァイオリンソナタ第5番&第9番

 

オイトラフとレフ・オボーリンによるベートーヴェンソナタ。正直、これのどこが名盤なのか分らないとしか…録音のせいもあるんだろうけど音がこもっているしハリが無くて貧弱で乾いていて直接音ばかりキンキン鳴ってて。

演奏自体も腰が重い印象。「クロイツェル・ソナタ」なんだから、ヴァイオリンとピアノが対等にドツき合わなくちゃいけないのに、どっちも大人しすぎる。じゃあ「春」のほうなら良さそうなのか、というとそんなことはなくて、ずっとモジモジしている感じ。モジモジしているくせに繊細なわけじゃないという。

まとめ

僕は、オイストラフの録音を3.84GBくらい持ってるんだけど…それで初めて言えることは…「良いものもある、悪いものもある」というのはスネークマンショーネタですのでさておき。好不調の波が大きい人っぽい、という程度のことは分るっぽい。まあ、大量のライブ録音が残っていて、その多くが聴かれてしまう状況なわけで、好不調の波だってあるさ、ということでまとめ。