How My Heart Sings

ななほし、やほし、こころほし。

ウジェーヌ・イザイの影

1912年から1914年にかけての録音で「無伴奏ヴァイオリンソナタ」で有名なヴァイオリニスト/作曲家のイザイが、他の人の曲を演奏したものの集成。

イザイの栄光

イザイの栄光

 

Eugène Ysaÿe(ウジェーヌ・イザイ)は1858年生まれ1931年没。生没年からして全盛期は19世紀から20世紀の初めといったところだろうか。さきほど書いた通り、1912年から1914年の録音ということで、ノイズだらけである。サーっていうノイズの向うからか細いヴァイオリンの音が届く感じ。伴奏のピアノにいたってはどうにもこうにも正体もはっきりしない。何でこんなものを喜んで聴くのか、歴史的な意味以外のものがあるのか、などと言われたりするけれど、ねぇ。

ウジェーヌ・イザイ - Wikipediaには、以下のようなことが書かれている。超有名な「無伴奏ヴァイオリンソナタ」の作曲者の演奏というだけでも伝説級なのに、こんなことを言われたら聴いてみたくなるじゃないか。単におおげさで修辞的な言葉に過ぎないんだろうけれど。

演奏家としてはその高い技術と説得力ある表現(多彩なヴィブラートの用法と巧みなテンポ・ルバートが特色として伝えられている)で多くの聴衆を惹き付け、ヴァイオリン音楽に大きな影響を与えた。パブロ・カザルスは「イザイほど正確な演奏ができるヴァイオリニストを聴いたことがない」、カール・フレッシュは「彼は『ヴァイオリンの騎士』、最後の大ヴィルトゥオーゾ、我々の芸術における忘れがたい記念碑として記憶に残り続けるだろう」と述べている。

そりゃあその通り、ものすごい古い録音だしノイズだらけだけれど。出てくる音は本来の音の影みたいなものだけれど。でもこういうのは、そこには既に彼の姿は無いけれど、かすかに残り香が、わずかに温もりが息遣いが、みたいな楽しみ方をするものと考えている。残り香はかすかだけれどはっきりと分るし、温もりは消えてしまいそうだけれど確かに感じ取れるんだ。

Youtubeで、イザイが実際に演奏するその音を聴いてみて欲しい。演奏する姿も見たかった。どんな弓使いなのか、どんな運指なのか、どんなヴィブラートのかけ方なのか。

www.youtube.com

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