ヴィブラフォンとは違うよ。マリンバで弾くジャズ
ジャズの世界で、マリンバはとても悪い待遇を受けている。「マリンバ ジャズ」で検索してみても、出てくる結果はどれもこれも「マリンバ」じゃなく「ヴィブラフォン」だ。例えば Youtube で検索してみると、ヴィブラフォンの動画が一番目に来る。一体どうしてなんだ。
鍵盤が茶色く見えても油断はできない。茶色いそれはローズウッドではなく色付きのアルミニウム合金かも知れない。下手するとタイトルはマリンバってなっているのに、実際に弾いているのはヴィブラフォンだったりするまである。酷い。だって、違う楽器だろ?
マリンバは木琴の一種だけれど、ヴィブラフォンは鉄琴の一種だ。マリンバもヴィブラフォンも音板の下には共鳴管が付いているし、音板はヴィブラフォンでも茶色っぽくなっていたりして、遠目には分らないかも知れない。
動画はヴィブラフォンの演奏なんだけれど、サムネイルでは判別できないね。
マリンバとヴィブラフォン、両者の大きな相違点としては…ヴィブラフォンの共鳴管にはモーターで回転するファンが付いていて、ダンパーペダルの操作によって回転し、ヴィブラートをかけることができる。回転速度は調節でき、音の余韻を調節可能。このことによって、音に多彩な表情をつけることができる。
マリンバにも共鳴管は付いていて、ヴィブラフォンと同様に響きを豊かにする効果付きなんだけれどね。ファンの回転を調節してヴィブラートを細かくあるいは大きくかけるとか、そんな機能は無いね。…これのせいか。これのせいでマリンバが。
マリンバでジャズ(CD編)
「マリンバでジャズ」ってどんなものでしょう。有名ヴィブラフォン奏者によるマリンバ演奏を聴いてみてください。…専門の奏者を見付けられない時点で、もうね。
Bobby Hutcherson
試聴リンクは有名はヴィブラフォン奏者の Bobby Hutcherson、ボビー・ハッチャーソンのアルバム "Montana" から "Yuyo" "Oye Como Va" です。ひとつめはヴィブラフォン、ふたつめはマリンバです。どちらもラテン音楽のノリで、楽しい曲ですね。試聴リンクはちょうど、ヴィブラフォンやマリンバがソロを取るところを聴くことができます。
当然のことですが金属質あるいは木質の音がするので、両者はだいぶ印象が違うと思います。…違うよね?アルバム "Montana" でマリンバを弾いているのは少しだけですねどね。
Cal Tjader
Cal Tjader、カル・ジェイダーはラテン・ジャズの先駆者として有名なヴィブラフォン奏者です。アルバム "Amazonas" から "Amazonas" "Mindoro" を聴いてみてください。
腹に響く感じの重低音が良い感じですね。アルバム "Amazonas" でマリンバを弾いているのはほんの数曲ですけどね。
マリンバでジャズ(Youtube 編)
Youtube で「Marimba jazz」で検索してみても、やっぱりヴィブラフォンの演奏ばかりかかるな。「ヴィブラフォン/マリンバ奏者の〜」というのがいけないのだろうか。
LATIN JAZZ Dave Samuels quartet
Dave Samuels、デイヴ・サミュエルズは有名なヴィブラフォン奏者です。この動画ではデイヴ・サミュエルズはヴィブラフォンを弾いていて、マリンバは別の人が弾いています。
Dave Samuels quartet となっているけれど、この動画ではマリンバが大きくフィーチャーされているし、同時にマリンバとヴィブラフォンが演奏しているので、音の感じとかを比較するのに良いと思う。
Franck Tortiller Solo Marimba - Improvisation
Franck Toritiller はヨーロッパ系の有名なヴィブラフォン奏者です。マリンバ独奏による即興ということで、マリンバの音色を堪能できます。色々な種類のマレットを駆使して演奏しているのが良く分って、興味深い。
ついでに、Franck Toritiller がヴィブラフォンを演奏している動画も貼っておきます。音色を比較してみてください。
まとめ
マリンバの木質の響き、腹に響く重低音は魅力的だと思う。ヴィブラフォンで過剰にヴィブラートをかけられると耳に痛いことがあるけれど、マリンバはそんなことは無いし出来ないし。
盛り上げようとしているつもりが、自分でそう思えなくなってきたので終る。