フランシス・ベベイは垢抜けてる
フランシス・ベベイ、Francis Bebey(1921〜2001)はカメルーン生れ。名前がフランスっぽいのは何でかと思って、カメルーンという国の成り立ちを調べてみた。
カメルーンは当初ドイツ保護領で、第一次世界大戦でドイツが破れた後はヴェルサイユ条約により西側の一部がイギリス領、残り大半がフランス領となった。この関係で、カメルーンは英語とフランス語が公用語。フランシス・ベベイはフランス語が多く話されるドゥアラという地域の出身。
英語、フランス語、ドゥアラ語で歌う。ギターや親指ピアノ等の楽器を弾く。…音楽を聴くのに頭から入るのはアレなのだけれど、こういうことを調べないで聴こうとすると最近辛いのです。ましてやこれは、自分が慣れ親しんだ西洋音楽とは異った理屈で出来たものなので。
親指ピアノ等のアフリカ由来の楽器も入っているけれど、ギターも入っているし、何といってもサウンドを特徴付けている主な楽器はシンセサイザーだ。でもって、上半身裸で、頭に荷物を載せている女性のジャケット。ここまでで、どんな音楽が流れてくると思うだろうか?アフリカ風味がついているだけのしょっぱいポップス?アフリカと西洋のごった煮?
聴いた後に出てきた言葉は、今回のタイトルに書いてあるけれど「妙に垢抜けている」「妙に洗練されている」だった。シンセサイザーは、笑ってしまうようなチープな音色を使っているんだけどプアな感じじゃなく、アフリカ由来の楽器の音色と違和感なく馴染んでいる。どっちかの側かが取って付けたような感じになりそうなのに、そうなっていない。西洋音楽的なものとアフリカの地元辺りの音楽のどちらも借り物じゃないから、間を自由に行き来できるのだろう。
自分のiTunesの音楽ライブラリにアフリカ関係のアルバムは300枚弱くらいあるけれど(それくらいしか持っていないけれど)、そのなかでもピカイチだと思っている。