トロンボーンとバリトン・サックスが支え合うジャズ "Bone & Bari"
今、聴いているのはジャズ・トロンボニストの Curtis Fuller、カーティス・フラー(1934〜)のアルバム "Bone & Bari" です。
このアルバムがジャズの棚に置いてあったとして、タイトルだけだと何の楽器のアルバムなのか分らないかも知れませんね。このアルバムではトロンボーンと、後は何の楽器がフィーチャーされているでしょう?って、答えは記事のタイトルに書いてしまっていますね。バリトン・サックスです。
サックスと言えばアルト・サックス、テナー・サックスなら知っているけれど、バリトン・サックス…?どんな音がするかはともかく、名前からしてアルトやテナーより更に低い音がするんでしょうね。
以前に、トロンボーン二本がソロを取るジャズのアルバム”The Great Kai & J.J.” について記事を書きました。今回の記事はこれの続きのようなものです。トロンボーンの相方がトロンボーンからバリトン・サックスに代って、どんな風になるのでしょう?という訳です。
トロンボーンとバリトン・サックス(バリサク)が一緒に参加して、各々が別々にソロを取ること自体は、珍しい訳では無いです。自分は、二人で一緒に吹いているところが聴きたいのです。
まず、少しだけ勉強…バリトン・サックスは、トロンボーンと比較してやや低い音域の楽器です。ちょうど、アルト・サックスより1オクターブ低いとのこと。
基本的に凄い昔から変らずに存在し、マウスピース+管を延したり縮めたりすることで音程を決めているために演奏の難しいトロンボーンと違って、十九世紀も半ばになって発明されたサクソフォーンは、音の出し易さや細かい動きのし易さが段違いだそうです。
Bone & Bari
「二本のトロンボーンが寄り添うジャズ ”The Great Kai & J.J.”」に書きましたが、トロンボーン二本という組み合わせのときは、ふっくらと響き合う感じが良いと思いました。同じ種類の楽器なので当たり前なんですが、二つの楽器が溶け合う響きでした。
トロンボーンとバリトン・サックスが一緒に吹くと、どんな感じなのでしょう?試聴してみてください。って、カーティス・フラーが一人で吹いている場面が多くて、なかなか難しいです。カーティス・フラーのアルバムなので、しょうがないですけどね。
- アーティスト: Curtis Fuller,カーティス・フラー,テイト・ヒューストン,ソニー・クラーク,ポール・チェンバース,アート・テイラー
- 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
- 発売日: 2008/11/26
- メディア: CD
- この商品を含むブログを見る
トロンボーンとバリトン・サックスの合奏は、トロンボーン同士と比較してぐっと腰が低くなった感じ。バリトン・サックスはかなり粗い音がするので、肌理のなめらかさは後退しています。トロンボーン二本のときはふんわりふっくらした感じだったけれど、こちらはややうるさいかな。
トロンボーンが苦手な細かい動きが多い場面では、トロンボーンだけではぼやけた感じになりそうなところを、バリトン・サックスが上手くカバーしています。
なかなか二人が一緒に吹かないのと、妙にベースやらピアノやら他の楽器にソロの場面を与えているのとで、なかなか目的を達成できませんね…しょうがないので、Youtubeに全曲上がっているものをリンクしておきます。
The Pepper - Knepper Quintet
奏者は全く別ですが、同じようにトロンボーンとバリトン・サックスの組み合わせのアルバムがあったので、紹介しておきます。こちらはジャケットにバリサクとトロンボーンがドーンと写っていますね。迫力があるジャケット絵で、こういうのは好みです。
こちらのアルバムはさきほどの "Bone & Bari" とは逆で、バリトン・サックスのペッパー・アダムスのほうがメイン、トロンボーンのジミー・ネッパーはサブです。バリトン・サックスがメインであることからか、アルバムの性格も "Bone and Bari" と違い、パワフルさが前面に出ています。