遠藤郁子のショパン演奏はダントツなのになぁ
日本におけるショパンの第一人者と言って差し支え無いだろう、遠藤郁子(1944〜)によるショパンのアルバム。遠藤郁子は東京生れだが生後すぐ北海道に移住し、中学校まで北海道で育った。このアイヌ風衣装のコスプレはそのせいか…
遠藤郁子、ショパン「春夏秋冬」
…何かアルバムタイトルが付いているけれど、要はショパン「前奏曲集」。実はエコ系ポエマーなタイトルが一曲づつに付いてて、更にちょっと困る。iTunesに取り込む際に消してしまったので、どんなだったか覚えていないけど。こういったことが、乳癌を患った後も精力的に演奏活動を続けるモチベーションと繋っていることは分るけど。後、遠藤郁子氏のコスプレも困る。これのせいでコアなファンを獲得しているのはその通りなんだけど…
演奏内容そのものは凄いんだ。全体的に驚異的な水準にあって、この曲のベストと言って過言でないのに…するする流れていってしまうような演奏も多いなか、遠藤郁子の演奏は全体を大きく捉えて24曲全体として構成していて、前の曲から次の曲へ繋げていく演奏は充実感や統一感があって聴き飽きない。演奏全体に統一感はあるけど、同時にタッチや雰囲気の切り替えもちゃんと用意してあるし。いくつかの曲で少々指の回りが遅く感じても、ショパンの「前奏曲集」そのものが「練習曲集」等と違ってそうした要素を第一に要求しないので…
遠藤郁子はこのアルバム「ショパン春夏秋冬(前奏曲集)」以外に、ショパンだと「空風火水土(ポロネーズ全集)」「音霊の詩(夜想曲全集)」「序破急幻(バラード全集と夜想曲が数曲)」の録音があって、どれも本当にオススメ。なお、「音霊の詩(夜想曲全集)」は現在、廃番になっているようで入手が難しそうです。
どれもタイトルがキツいですね。ジャケットは「序破急幻(バラード全集と夜想曲が数曲)」がキツいくらいです。後はピアノソナタとマズルカくらいは録音して欲しいな。ショパン全曲演奏会とかしてるんだし…ねぇ?スケルツォや練習曲は向いてなさそ気だけど。
Youtube で遠藤郁子
…動画がほとんど無いことに驚いているのだけれど…どういうことなんだろう。とりあえずショパンは全然関係無いけど、伊福部昭の「日本組曲」から「佞武多(ねぶた)」というのがあったのでリンクを貼っておきます。
ショパン「前奏曲集」のおすすめ
ついでに書いておくけれど、ショパンの「前奏曲集」だったらこの遠藤郁子の演奏か、遠藤郁子が重いと感じるならアリシア・デ・ラローチャの演奏をオススメしたい。ラローチャはタッチ・音色・表情付けの引き出しが膨大にある凄い奏者だと思っているんだけれど、ここでも一曲ごとに一曲のなかで、魔法のように切り替えていくよ。