弦楽四重奏が艶やかに奏でるジャズ、クロノス・カルテット ”Music of Bill Evans”
今回紹介するのは、現代音楽専門の弦楽四重奏団として大変有名な Kronos Quartet 、クロノス・カルテットとウッドベースの Eddie Gomez 、エディ・ゴメス、が演奏する「ビル・エヴァンス作品集」です。曲によってギターのJim Hall 、ジム・ホールが参加しています。…けっこう豪華ゲストですね。初めて聴いた頃は、そんなことはまったく理解していませんでしたが。
現代音楽専門の弦楽四重奏団としてはもう一つ、固茹でなゴリゴリの現代音楽を主なレパートリーとするアルディッティ四重奏団というのがあるのですが、こちらクロノス・カルテットは、クラシックとは異なるジャンルの作曲家や演奏家に作品を演奏することが大変多い団体です。ジミ・ヘンドリクスの「パープル・ヘイズ」を演奏したものが出世作、他には全トラックをアフリカ出身の作曲家・演奏家の曲で固めた「アフリカン・アルバム」も有名です。
Youtubeで「パープル・ヘイズ」の動画があったので、リンクを貼っておきます。観ていただくと、彼らがどんなパフォーマンスをする団体か良く分ります。…それにしても、リーダーのファースト・ヴァイオリン、デイヴィッド・ハリントンは歳をとったですね…
Kronos Quartet - Purple Haze (Jimmy Hendrix) - All Tomorrow's Parties The National ATP - 08.12.12
Music of Bill Evans
自分はヴィオラ奏者で、このアルバムを聴くまでは弦楽四重奏曲といえばモーツァルトとかを聴いていただけで、ジャズなんてまったく興味もありませんでした。クロノス・カルテットのことは知っていて、彼らが演奏するジミ・ヘンドリクス「パープル・ヘイズ」は凄いもんだなあ、と思って聴いていた程度でしょうか。
クロノス・カルテットは1978年結成、このアルバムは1986年の発売で初期の頃の録音です。ゲストとしてベースのエディ・ゴメスとギターのジム・ホールが参加していて、特にエディ・ゴメスは全トラックで良い出番を貰っています。試聴リンクは、ちょうど「ワルツ・フォー・デビィ」のテーマが聴けますね。あ、でも、惜しいところで切れてしまいますね…
- アーティスト: Kronos Quartet,Eddie Gomez,Jim Hall
- 出版社/メーカー: Savoy Jazz
- 発売日: 2004/07/06
- メディア: CD
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「ワルツ・フォー・デビィ」のテーマは、ピアノで弾いても本当に優雅で美しくて素晴しいです。でも、ここでヴァイオリンが奏でるテーマの美しさたるや。つややかであでやかで。試聴部分はちょうど、テーマを澄まし顔で弾いている部分ですね。このトラックは05:43ほどあるのですが、このワルツ的な部分は01:15くらいまで続きます。テーマをひとくさり弾いた後は、ジャズっぽいリズムが始まります。先程のゆったりした部分との落差がとても楽しい。
このアルバムは、つややかで優雅なトラックだけではなく、厳しさや鋭さを感じるトラックも入っています。”Re: Person I Knew” ”Peace Piece” も試聴してみてください。
Monk Suite
クロノス・カルテットは「ビル・エヴァンス作品集」の一年前、1985年にベースのロン・カーターと組んで、「セロニアス・モンク作品集」というのを出しています。
…残念ながら、アルバムのできとしては、エヴァンス作品集のほうが数段上と思います。上品さが勝ってしまっているというか。無骨さが足りないというか。どのトラックも角が丸くなってしまっていて、セロニアス・モンクの曲は弦楽器で演奏するのに向いていない感じ。みなさんはどう感じるでしょうか?
- アーティスト: Kronos Quartet
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