藍川由美、歌詞がちゃんと聞き取れる日本語の歌唱
日本語だと分らないような歌唱は嫌だ
どの録音を聴いても大体において、どれもこれも何語で歌ってんだか分らん訳です。母音が曖昧だったり妙に巻き舌だったり棒読みだったり。イタリア語か何かか。少なくとも日本語に聞こえない。
- か(ぁ|ぉ)ら(ぁ|ぉ)た(ぁ|ぉ)ち(ぃ|ぇ)の(ぅ|ぉ)は(ぁ|ぉ)な(ぁ|ぉ)が(ぁ|ぉ)さ(ぁ|ぉ)い(ぃ|ぇ)た(ぁ|ぉ)よ(ぅ|ぉ)
- くぁるぁたぁちぃぬぉはぬぁぐぁさぅいたぁぅよぅぉ
- カーラーターチーノハーナーガサーイーターヨー
北原白秋(1885〜1942)作詞、山田耕筰(1886〜1965)作曲の「からたちの花」を使っていくつかダメな例を挙げてみたけれど、まあどれもこんな感じで、日本語だってことは何となく分るんだけれど、歌詞がまったく聞き取れない。小学校の頃音楽の時間に聴いたものは正にこんな感じのしろもので、子供心に正直笑っちゃうような、滑稽な感じで。
笑ってしまいそうな印象は大人になっても消えなくて、山田耕筰の旋律は損なわれないにしても、北原白秋の歌詞は台無しであると感じる。こんなの日本語じゃ無ぇよ。お前らシューマンやフォーレの歌曲を批評するのに、ドイツ語の発音が悪いのアクセントが変だのもっとツバをとばすようにペッペッペッてやれよとか、フランス語の話すように歌う歌い方が大事だとか鼻濁音がーとか言うくせに、母国語の歌唱についてはこんなのを許し続けているのか。
美しい日本語の歌唱を聴きたい
- アーティスト: 藍川由美,山田耕筰,遠藤郁子
- 出版社/メーカー: (株)カメラータ・トウキョウ
- 発売日: 2005/03/20
- メディア: CD
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このアルバムは山田耕筰の歌曲を、藍川由美と遠藤郁子の組み合わせで録音したものです。「からたちの花」「ペイチカ」「この道」「かえろかえろと」「赤とんぼ」「野薔薇」等々の名曲が収録されています。藍川由美は、こうした日本語歌唱の問題に取り組んでいる方とのことです。でも実際に聴いてみるまでは、嘘っぽいなと思っていたんだけれど…
…うん、これはちゃんと日本語に聞こえる、歌詞を聞き取れる。思わず吹き出しちゃったりしない。笑いがこみあげてきたりしない。素直に楽曲に向きあうことができる。正直なところ、最初にこの録音を聴いたときは、あんまり美しいので、少し涙が滲んだくらいに感動した。 北原白秋の詩が美しく、その詩に寄り添うような山田耕筰の曲もまた美しい。
藍川由美の歌唱を今すぐ聴いてみたい
藍川由美の歌唱をYoutubeで探したけれど、「古賀政男」とか「軍歌」とかしかないなぁ、そこまではさすがになぁ…と思っていたら、中山晋平の1915年(大正4年)「ゴンドラの唄」等が入ったプレイリストをみつけた。「ゴンドラの唄」はいのち短かし恋せよ乙女
ってやつです。美しい日本語の歌唱とはどんなものか、たっぷり聴くことができますよ。
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