How My Heart Sings

ななほし、やほし、こころほし。

親指ピアノ、ドゥミサニ・マライレ、コノノNo.1

自分はクラシックを主に聴きますが、時々反動でもあるのか、まったく違うジャンルのものを聴きたくなるときがあります。楽器からして違う、音階からして違う、世界観からして違う、考え方そのものが根底から違うようなものが聴きたくなるのです。

 今回紹介するのは「親指ピアノ」です。英語では ”thumb piano” で、訳はそのまんまですね。板あるいは箱に金属あるいは木の棒を取り付け、棒を親指で弾いて演奏するもので音階らしきもののある打楽器です。ちっさいピアノっぽいものに見えなくもないかも。マリンバのほうが近いかも。

ドゥミサニ・マライレ

Chaminuka: Music of Zimbabwe

Chaminuka: Music of Zimbabwe

 

 

Butsu Mutandari

Butsu Mutandari

  • Dumisani Maraire
  • ワールド
  • ¥150

 

Dumisani Maraire、ドゥミサニ・マライレ(1944〜1999)はジンバブエのショナ族の出で、ヴォーカルやmbira(ンビラ、親指ピアノのこと)の奏者です。最初は家族に、その後はジンバブエ第2の都市であるBulawayo(ブラワヨ)にある大学で音楽を学びました。1968年からワシントン州ワシントン大学で教鞭を取る。1982年にジンバブエに戻り、その後は祖国とアメリカを行き来する。ジンバブエの歴史と見比べると、イギリス領南ローデシア独立運動が興った辺りでアメリカへ逃れ、ジンバブエ共和国ができた辺りで戻ったぽい。

親指ピアノの音は、ころころと可愛らしくぽこぽこと面白く演奏ノイズは大きく、手作りなので楽器ごとに音色の差が大きく、何人かで合奏すれば何種類もの打楽器から成るオーケストラのようです。素朴な見た目に反して、豊穣な奥深い音楽。凄いな。

クロノス・カルテットの「アフリカン・アルバム」の冒頭に、彼の書いた曲「我が母ノージポー」が収録されています。残念ながらこの曲では親指ピアノは出てきませんが、曲そのものはアルバムの一曲目に相応しい大変キャッチーなものです。

 

Mai Nozipo (

Mai Nozipo ("Mother Nozipo")

  • Kronos Quartet
  • クラシック
  • ¥150

 コノノNo.1

Congotronics

Congotronics

  • Konono N°1
  • ワールド
  • ¥1650

 

Lufuala Ndonga

Lufuala Ndonga

  • Konono N°1
  • ワールド
  • ¥200

 

Konono N°1、コノノNo.1コンゴ民主共和国(旧ザイール)の音楽グループです。15世紀辺りまではひとつの「コンゴ王国」だったのですがその後ポルトガルに征服され、さらにポルトガルの勢力が衰えた19世紀にベルギー領として分割されたのが後のコンゴ民主共和国、フランス領として分割されたのが後のコンゴ共和国

先ず、一曲目を試聴してみてください。…ぽこぽこ言っているのは、実は親指ピアノです。どうしてこんなに大音量で歪んでいるのかというと、アンプリファイしているからです。エレキ親指ピアノ。

親指ピアノの音をマイクで拾ってアンプで増幅した結果、元々内包していたノイズ成分が猛烈に増幅されて耳に突き刺さります。アルバムを聴く前なら、こんなことして何がワールドミュージックか、とか思っても良いですけど、聴いてしまった後はそんな考えは吹き飛んでしまいます。アルバムとして、全曲ノリがまったく同じなのは問題といえば問題ですけど、一時間弱の間ずっとトリップできるともいえるし。