How My Heart Sings

ななほし、やほし、こころほし。

いまさらだけど「四月は君の嘘」のことを少し話そう

新川直司の少年まんが「四月は君の嘘」は全11巻。ピアニストで主人公の「有馬 公生」と、ヴァイオリニストでもう一人の主人公の「宮園 かをり」の物語です。2014年にはアニメ化されて、作中で演奏される曲を収録したアルバムなんかも出ました。

有馬公生くんは、小学生の頃はコンクールを荒しまわったピアニストだけれど、今は家のピアノには埃がかぶっている。彼には主なライバルが、相座 武士くん井川絵見さん相座凪さんと二人ないし三人いて、お互いに刺激しあい、切磋琢磨する様が描かれます。宮園かをりさんの事を書くと重大なネタバレになるので止めておきます。有馬公生くんには後は、男の子の幼馴染が一人、女の子の幼馴染が二人。

自分はアニメから入ったクチです。音楽まんがなので、実際に音が鳴っているとやっぱり印象強くなるよね。

 

四月は君の嘘 僕と君との音楽帳

四月は君の嘘 僕と君との音楽帳

 

 

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うわああああーっ!オレノ柔らかいところを刺激するなァアーーーーー!!と率直に思いましたが、それは個人的な感想なのでさておき。

このアニメは演奏シーンが大変に力が入っていて評判でした。その分、リソースの配分というか手を抜くところは大変に抜いていましたね。コンクールの他の出場者が止め絵だったり。ピアノを弾く体の腕の手のひらの指先のリアルさ、なめらかさ。ヴァイオリンを弾く姿はもっと良くて、ちゃんと右腕の重さが弓に乗っている感じで動いてるのに感心した。実際に弾いているところをキャプチャしたんですかね。技法的なことは分らないですけど。

でも、弾いているさいちゅうに有馬公生くんが延々ポエミィなことを垂れ流し続けるのは…演奏中にポエミィなのは有馬公生くんのライバル達、特に井川絵見さんも同じだけど、美人なので許そう。ショパンの練習曲「木枯らし」を弾いたシーンはまさに名シーンだったし。演奏中にこんなことを考えていたら、暗譜をしてあったのが吹っ飛んでしまいそうだけどな。というか自分は、今日あの子は来てるかな?とか考えた瞬間に落ちたことが数回ありますが。

演奏シーンをポエミィとか小馬鹿にしたけれど、出番前の楽屋で延々曲をさらっている他の子の姿とか壁を見ながらブツブツ言っている子とか、リアルさを感じるシーンも多い。有馬公生くんの演奏シーンはどれも「失敗」と強く結び付いているので、舞台上で近いようなことをしてしまった人は心に刺さるだろうな。

…自分がピアニストだったら、伴奏者を無視して勝手に弾きまくるようなヴァイオリニストとは二度と一緒に弾かない。逆のパターンでも同様。実際に作中でも宮園かをりさんは、伴奏者に断られている。有馬公生くんを誘う口実だったかもしれないけれど。自分だったら終演後に楽屋で、相手に罵声のひとつやふたつ心のなかで浴せた上で、二度と連絡取らないだろう。弱いな。

作中ではそんなことにはならず、有馬公生くんは、宮園かをりさんの演奏と演奏する姿の美しさと普段の可愛らしさとのギャップにどんどん惹かれて…この先本屋さんでどうぞ。名作です。