コントラバスの独奏、ってどんなものかしら
自分ちの小さなスピーカーで聴いていると、ちょと自信が持てないのだ。今、ソロパートを演奏しているのがコントラバスなのか、それとも風邪をひいて、鼻声かつガラガラ声かつ口の中が渇いているために音程が定まらなくてかつお腹に力が入らなくて大きな声を出せない状態のチェロなのか。
ヨハン・バプティスト・ヴァンハル
これはJohann Baptist Vanhal、ヨハン・バプティスト・ヴァンハルのコントラバス協奏曲です。ヴァンハルはヨーゼフ・ハイドンより七才年下、当時の売れっ子作曲家です。
…ちゃんとコントラバス協奏曲を買ったはずなのに、どうにもチェロが鳴っている気がする。最低音に近い辺りなら確かにコントラバスだなと思えるのだけれど、高音域だと肌理の荒い角が少しピシっとしていない豆腐みたいなチェロのようにも聴こえてしまう。うちのちゃちなスピーカーでは、楽器の大きさに見合う空気感みたいなのが伝わってこない感じ。
コントラバスについて勉強してみると独奏時には、通常 G・D・A・E となるチューニングを長二度(全音)上げて A・E・H・Fis とするソロ・チューニングというスコルダトゥーラ(特殊調弦)を行うそうだ!さらにソロ用に細めの弦を使うこともあるそうだ!!びっくりだ。勉強になった。この演奏がそうか分らないですけど。時代的にはもっと後の方法なので、違うような。
ジョヴァンニ・ボッテジーニ
「コントラバスのパガニーニ」の異名を持ちソロチューニングを始めたというGiovanni Bottesini、ジョヴァンニ・ボッテジーニの曲を聴いてみた。…音の鳴りの良さ通りの良さ、輝かしさ、これは全然別物だ。ほぼ風邪が直ったチェロみたいだ。チェロとコントラバスの中間みたいだ。それに、ヴァンハルの曲が作曲された当時はまだ無いソロチューニングを用いて録音などしないだろうし、とすると最初のアルバムはちゃんとコントラバスだったのだなぁ。
ドメニコ・ドラゴネッティ
コントラバスについて勉強していく内に、Domenico Dragonetti、ドメニコ・ドラゴネッティという人の曲を聴いた。ソロパートはコントラバスの豊かな響きを生かした歌とチェロに劣らない運動能力で、とても魅力的。Wikipediaに、ちょうど同時代を生きたベートーヴェンとドラゴネッティの幸せな出会いについて面白い逸話が載っている。ベートーヴェンの顔が頭に浮ぶので、必読。