立春なので、雅楽「春鶯囀(しゅんのうでん)一具」
春鶯囀一具、春(はる)の鶯(うぐいす)の囀り(さえずり)。一具(いちぐ)というのは全曲、というくらいの意味、だったと思う。立春ということで、春だしね。立春は節分の次の日だそうですよ。季節感を大事にして、日々を楽しみませう。え?まだ寒い?寒さの峠を越したら、春の始まりです。日の入りも、それと分かるくらい遅くなったでしょ。
春鶯囀一具
「春鶯囀一具」、手元にある東京楽所(とうきょうがくそ)の演奏のCDで見ると、六つの部分に分れ全曲で一時間を越えるという、堂々たるもの。 さて、何を思って買ったんだったか…武満徹の曲で「秋庭歌一具」っていうのがありますが、多分そっちを先に買って、その後に何となく似たタイトルのこっちも買ったんじゃなかったかな?
両者を比較すると、「秋庭歌一具」がサービス精神一杯というか聴き手を飽きさせない工夫というか、イベント満載なのが分る。「秋庭歌一具」は身が締まる感じとか、心が沈む感じがするしね。
「春鶯囀一具」は曲名の通り、 空高くあるもの、明るくて開放的な響きのするもの、陶然としてしまうようなゆっくりとした時間の流れのするもの。
Youtubeに「春鶯囀」が一部置いてあったので、リンクを貼っておきます。…正直なところ、完全な室内であるコンサートホールで、外気を遮断した場所で雅楽を演奏することは、雅楽の魅力をスポイルする行為だと思います。本来はお公家さまの屋敷の綺麗に手入れされた広い庭の庭先とか、そういった場所で自然音を含んだ状況で聴かれるべきものかと思います。空が星が見える状態で、風が薫るのを、空気が冴えるのを感じながら。
武満徹「秋庭歌一具」
全曲はCDで二種類、東京楽所の演奏したものと、伶楽舎の演奏したものが入手可能です。Youtubeにあった動画にもリンクしておきます。元の録画状況が電波状況のためかノイズ混りだし全曲なので一時間近くかかりますけど。冒頭の曲目紹介だけでも観ると、どんな曲か理解が進むと思います。
「秋庭歌一具」動画の冒頭にあった解説の通り、ステージ中心に配置される「秋庭」のグループと、その周囲にみっつ配置される「木霊」のグループがあり、まずそれが聴衆の目を惹くと思います。自分の脳内では、木立などを間に挟んでもう少し離れた状態を想像しています。
これらのグループは、お互いに呼応し合いながら曲を構成していきます。遠いところで笛が鳴っているのに応じると、相手があるいは別のところがさらに応じる…といった風情の演出ですね。
- アーティスト: 伶楽舎
- 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
- 発売日: 2002/09/04
- メディア: CD
- クリック: 11回
- この商品を含むブログ (14件) を見る